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月別アーカイブ: 2025年2月

未来に繋ぐ阿波晩茶~episode10~

皆さんこんにちは!

Kamikatsu-TeaMateの更新担当の中西です!

 

さて今日は

未来に繋ぐ阿波晩茶〜episode10〜

ということで、日本茶農家の現状と課題についてご紹介♪

 

 

日本茶は、日本の伝統文化の象徴であり、長い歴史を持つ産業です。しかし、近年、日本茶農家はさまざまな課題に直面しており、生産者の減少、需要の変化、気候変動、国際競争の激化など、多くの問題を抱えています。


1. 日本茶農家の現状|減少する生産者と変化する市場

① 日本茶の生産量の推移

日本の茶葉生産量は、ピーク時(1970年代)には約12万トンを記録しましたが、近年では減少傾向にあります。

2022年の生産量:約7万トン(ピーク時の約6割に減少)
主要産地:静岡、鹿児島、三重、京都、福岡
全国の茶農家数:1995年には5万戸以上→2020年には約1万5千戸に減少

この減少の背景には、高齢化・後継者不足・消費量の減少などの問題があります。


② 日本国内の茶葉消費の変化

家庭での急須利用が減少

  • かつては、家庭で急須を使ってお茶を淹れる習慣が一般的でしたが、ペットボトル茶やコーヒーの普及により、急須を使う機会が激減。

ペットボトル茶の需要増

  • 日本茶の消費量自体は減っていないが、「茶葉」から「ペットボトル」へのシフトが顕著。
  • 茶農家は従来の茶葉販売では利益を確保しづらくなっている。

若年層の「日本茶離れ」

  • 若者世代には、コーヒーや紅茶、タピオカドリンクなどが人気。
  • 「日本茶=年配向けの飲み物」というイメージが定着しつつある。

2. 日本茶農家が直面する主な課題

① 高齢化と後継者不足

日本の茶農家の約6割が60歳以上

  • 高齢化が進み、引退する農家が増加。
  • 若い世代の茶農家が少なく、技術継承が困難になっている。
  • 特に中小規模の農家は、後継者がいないまま廃業するケースが増加。

新規就農のハードルが高い

  • 茶栽培には広大な農地・設備投資・専門技術が必要で、新規参入が難しい。
  • 収益性の低さから、若者が茶農家を目指しにくい状況。

② 価格競争と輸入茶の台頭

安価な輸入茶の増加(中国・スリランカ・ベトナム産)

  • 日本国内の茶葉市場において、安価な中国・ベトナム・スリランカ産の茶葉が増加。
  • 外食産業・コンビニ・スーパーなどでは、低価格の輸入茶葉が多く使われる。
  • 日本茶農家は、価格競争に巻き込まれ、収益が圧迫されている。

国産茶のブランド力が求められる

  • 価格競争では輸入茶に勝てないため、「高品質な国産茶」としてブランド価値を高める戦略が必要。
  • 高級煎茶や抹茶、オーガニック茶など、差別化が求められる。

③ 気候変動による影響

異常気象による収穫量の不安定化

  • 地球温暖化により、霜害(春先の気温低下による芽の凍結)や猛暑による品質低下が発生。
  • 台風や長雨による被害も増加し、茶葉の収穫量が不安定に。

栽培地域の変化

  • 温暖化の影響で、南日本(鹿児島・静岡)では高品質な茶葉の栽培が難しくなりつつある。
  • 東北地方での茶栽培が試験的に行われるなど、産地の変化が進んでいる。

④ 販売ルートの多様化とマーケティングの課題

従来の流通依存からの脱却が必要

  • 茶農家の多くは、JA(農協)や茶問屋を通じて販売するが、市場価格の低下で利益が出にくい。
  • 直接販売(ECサイト・SNS活用)やカフェ経営など、新たな販売手法を模索する動きが増えている。

海外市場への挑戦

  • 抹茶ブームを活用し、欧米・アジア市場へ輸出を拡大。
  • オーガニック認証(EU・USDA)を取得し、高付加価値市場へ進出する茶農家も増加。

3. 日本茶農家の未来に向けた取り組みと解決策

① スマート農業の導入

AI・IoTを活用した茶栽培の効率化

  • ドローンによる茶畑の監視・散布。
  • AIを活用した収穫時期の最適化。
  • 自動収穫機の導入で省力化を図る。

② 付加価値の高い日本茶の開発

「プレミアム日本茶」「オーガニック茶」など高価格帯の市場を開拓。
新しいスタイルの茶(ティーバッグ・ボトリング抹茶など)の開発。


③ 若者や新規就農者の育成

国や自治体による「新規就農支援」制度を活用。
茶産地での「研修制度」や「インターンシップ」などを拡充。


4. まとめ|日本茶農家の未来に向けて

茶農家の高齢化と後継者不足が深刻化。
ペットボトル茶の普及により、茶葉市場が縮小。
輸入茶の台頭や価格競争で国産茶の価値が問われる。
気候変動による収穫量の変動が課題。
EC・海外市場・スマート農業の導入がカギとなる。

日本茶農家は、厳しい環境の中でも、新しい技術・市場開拓を通じて持続可能な未来を築く努力を続けています。
これからの日本茶産業は、伝統を守りながらも、時代に合わせた進化が求められるでしょう。

 

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未来に繋ぐ阿波晩茶~episode9~

皆さんこんにちは!

Kamikatsu-TeaMateの更新担当の中西です!

 

さて今日は

未来に繋ぐ阿波晩茶〜episode9〜

ということで、日本茶の歴史についてご紹介♪

 

日本茶は、単なる飲み物ではなく、日本の歴史や文化、生活習慣に深く根ざした存在です。茶の栽培と製法は時代とともに発展し、今日の煎茶や抹茶、玉露といった多様な種類へと進化してきました。その背景には、中国からの伝来、武士や僧侶の影響、さらには庶民の間での普及といった歴史的な流れがあります。


1. 日本茶の起源|中国からの伝来と仏教との関わり(8〜12世紀)

① 茶の伝来(奈良〜平安時代:8〜12世紀)

日本茶の歴史は、中国からの影響なしには語れません。

最初の茶の伝来(804年頃)

  • 平安時代の初め(804年)に最澄(天台宗の開祖)と空海(真言宗の開祖)が唐(現在の中国)へ渡り、仏教とともに茶を持ち帰ったとされています。
  • 当時の茶は、現在の煎茶ではなく「団茶(固形茶)」で、薬用として僧侶の間で飲まれていた。

嵯峨天皇と茶の記録(815年)

  • 日本最古の茶の記録として、『日本後紀』には嵯峨天皇が僧侶から茶を勧められたという記述が残っています。
  • この時代の茶は、主に宮廷貴族や僧侶の間で珍重され、一般の人々には普及していませんでした。

2. 鎌倉時代の茶文化|禅宗と抹茶の誕生(12〜14世紀)

① 栄西と抹茶の伝来(1191年)

抹茶文化の始まり

  • 鎌倉時代の禅僧・栄西(ようさい)が宋(中国)から「茶の種」と「抹茶の製法」を持ち帰る。
  • 栄西は『喫茶養生記(きっさようじょうき)』を著し、「茶は健康に良い」と説いた。

武士と抹茶の関係

  • 鎌倉幕府の将軍・源実朝(みなもとのさねとも)に栄西が茶を献上し、武士の間にも広まる。
  • 禅宗の修行の一環として、坐禅前に抹茶を飲む習慣が定着。

京都・宇治での栽培開始

  • 栄西は、現在の宇治地方に茶の種を植え、日本の茶栽培の基盤を築いた。
  • これが「宇治茶」のルーツとなる。

この時代、日本の茶文化は主に禅宗の僧侶や武士階級の中で発展し、次の室町時代には「茶の湯」へとつながっていきます。


3. 室町時代の茶の発展|「茶の湯」の誕生と大名文化(14〜16世紀)

① 足利将軍と「茶の湯」の確立

足利義満と唐物茶道具の流行(14世紀後半)

  • 室町幕府の将軍・足利義満(1358〜1408)は、中国の高級茶器「唐物(からもの)」を珍重し、茶会を開催。
  • 闘茶(とうちゃ)」と呼ばれる、茶の種類や産地を当てる遊びが流行。

村田珠光と「わび茶」の誕生(15世紀)

  • 侘び茶(わびちゃ)の祖・村田珠光(むらたじゅこう)が、禅の精神を取り入れた「簡素な茶の湯」を確立。
  • 豪華な唐物の茶器ではなく、質素な「和物(国産の茶道具)」を重視。

千利休による茶道の完成(16世紀後半)

  • 安土桃山時代に、千利休(せんのりきゅう)が「茶道」を大成し、茶の湯文化を武士階級へ広める。
  • 織田信長・豊臣秀吉も茶の湯を愛好し、大名たちの間で「茶会」が政治の場として機能。

4. 江戸時代の茶文化|庶民への普及と煎茶の登場(17〜19世紀)

抹茶から煎茶へ

  • 17世紀、永谷宗円(ながたにそうえん)が煎茶の製法(青製煎茶製法)を開発し、庶民の間で急速に普及。
  • 江戸時代後期には、「煎茶道」も確立し、文人文化として広まる。

全国での茶栽培の拡大

  • 宇治以外にも、静岡・鹿児島・佐賀など全国各地で茶の生産が本格化。
  • 江戸の町人文化とともに、「日常の飲み物」として煎茶が定着。

茶屋文化の発展

  • 江戸時代には「茶屋(ちゃや)」が各地に誕生し、庶民が気軽にお茶を楽しむ文化が根付く。

5. 近代〜現代の日本茶|技術革新とグローバル化(19世紀後半〜)

明治時代の輸出産業化(19世紀後半)

  • 明治政府の政策により、日本茶はアメリカ・ヨーロッパ向けの輸出品として発展。
  • 静岡が「日本一のお茶の産地」として確立される。

昭和時代の大量生産化

  • 機械化が進み、煎茶・玉露・ほうじ茶など多様な製法が確立。
  • ペットボトル茶(1990年代)や健康ブームにより、再び注目される。

現代の日本茶文化

  • 海外市場の開拓(欧米・中国への抹茶輸出)。
  • 若者向けの「おしゃれなカフェ」「抹茶スイーツ」の流行。
  • AIやドローンを活用した茶畑管理が進行中。

6. まとめ|日本茶の歴史と未来

奈良・平安時代に仏教とともに伝来し、薬用として飲まれていた。
鎌倉時代に栄西が抹茶を広め、武士や禅宗と結びつく。
室町時代には「茶の湯」として発展し、千利休が茶道を確立。
江戸時代に煎茶が登場し、庶民にも広がる。
明治以降は輸出産業として発展し、現代では多様化が進む。

日本茶は、時代とともに変化しながらも、日本人の生活と深く結びつき、これからも文化の一環として進化し続けるでしょう。

 

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